アジア金融システムの経済学
東アジア金融・経済の教科書
いまや、東アジア金融・経済の大学の研究者、金融機関の実務担当者、そして当局の政策担当者が座右においているのがこの本。もはや教科書である。大学の教科書指定も早くも多い。
「EPA」にしても、その用語を使っているのは日本だけであることを指摘している。世界的には「FTA」という用語である。
東アジア金融・経済をめぐる様々な国内の状況を説明しているがそれ非常に分かりやすい。さらに、アジア金融への注力を危機感をもって構想を述べているのも印象的である。
筆者は、すでに様々な日本を支えるグローバル企業のアドバイザーになっており、より実務のアドバイスをしていると聞く。
テレビでの解説や大学院の講義を聞いていて思うのは、日本の硬直的な金融界を替えるのは、筆者のような人であろう。今後の活動に期待する。
実務家の視点・アジア金融システムの水先案内人
「決済システムのすべて」「証券決済システムのすべて」を日本銀行の中島真志氏と共に著し、金融情報通信ネットワークSWIFTの年次コンヴェンションであるSIBOSにも毎年パネリスト等として参加されている宿輪氏は、決済実務に関する専門家という印象が強いものの、つい最近までは日経CNBC Expressで得意とされる映画評論を交えた金融市場動向のゲストコメンテーターを務められるなど、学者・エコノミストとしてしてもご活躍であるのは周知のとおり。金融商品・投資の収益性は、表面的な利回りだけでなく、金融取引全般において発生するリスク、コスト、効率性をも考慮の内に含めて考える必要があり、この点においてトレーディング部門(取引部門)と金融インフラ部門(事務部門)は、車の両輪となって金融市場を形成・育成する役割を持つという説明は、金融機関のマーケット業務の本質を捉えており非常に納得のいくところである。決済とはつまるところ「受けて」「渡す」ことであり、メーカーなどの一般企業で言えば物流(ロジスティックス)にも重なる概念である。一般企業の取引であれば、取引成立後の商品の搬送、顧客への納品と代金の受取りにまで気を配ることができるのが優秀な営業マンであろうが、金融機関のマーケット部門では取引約定後の決済まで気を配れるトレーダーは果たしてどれだけいるだろうか。「学者としての分析としてではなく、可能な限り、実務家の目からアジア経済統合への可能性を考察しようとした」と言う著者の面目躍如の感がある本書は、藤巻健史氏との共著による「円安vs円高」よりも更に通貨制度に関する考察も精度と深みを増し、非常に読みごたえのある内容となっている。
アジア金融・経済の将来像
ウゾウムゾウまで含め、世の中にアジア金融・経済を語る人々は多い。
筆者は、すでに押しも押されるアジア金融・経済の研究者であるが、これはその地位を揺るぎないモノにする書籍である。
なんといっても日本経済新聞社からというものも、信用度を上げている。
すべての銀行と証券会社が保有しているといわれる、筆者のベストセラー「決済システムのすべて」「証券決済システムのすべて」を越える評価と影響を与えよう。アジア金融・経済に関わろうとしている人には、まず読んでほしい1冊である。
やや範囲が広すぎる感もあるが、筆者の守備範囲の広さの故か。
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