選択の自由―自立社会への挑戦
必読だが批判的に読むべし
この本の主張はふたつ。ひとつは徹底した市場原理至上主義(新自由主義)、もうひとつは政府による通貨管理の重要性(マネタリズム)であり、サッチャリズム、レーガノミクスの種本とも言われている。そして、現自民党政権が目指しているのもほぼこの本の主張に沿ったことである(本当にどこまで肥大した公共事業や天下りの撲滅を目指すのかは疑問だが)。そういう意味では、今後の日本の動向を知るためにも必読の一冊と言える。
一読すると、無駄な公共事業の全廃と民間への権限委譲を主張する著者の意見は尤もであると感じよう。しかしよく考える必要がある。明治時代の日本に関する分析が完全な誤りであるのはご愛嬌として、「選択の自由」を享受するための情報の対称性は本当に確保されているのか? この点を問題にしているのがかのスティグリッツである。確かにより多くの専門的情報を持つ強者が一人勝ちしてしまうのがこの情報化社会のひとつの特徴であり、この情報の非対称性が克服されない限り、市場原理はうまく機能しないのだ。この本はその致命的欠点については全く触れられていない。
さらに、食品や医療に関してその安全性を市場原理に任せるという立論には道義的にも問題があろう。例えば抗がん剤と高血圧の薬では安全の基準が全く異なることは明白だし、倫理性を市場原理に任せるのは暴論というものであろう。
本当に大切な本
私は公務員をしているので、この本の主張は痛いほどよく分かります。日本では医療保険、年金保険、雇用保険など様々な公的(強制的)保険制度がありますが、すべてはほとんど破綻状態です。理由は本書が訴えているとおりです。現在は国民年金保険料の無駄遣いが主に取り上げられていますが、無駄遣いはすべての保険制度に共通します。
公務員にとっては所詮他人の金ですから、決して大事に使うことはありません。国民やマスコミが厳密に監視することなど不可能ですから、公務員の無駄遣いを防ぐ方法は、公務員に金を持たせないことです。
国民も、何でもかんでも公的機関に頼ってはいけません。そういう姿勢が行政機関を肥大化させ、結局国民の大事な富がどんどん浪費されてきたということを知って欲しいと思います。
経済学の門外漢へ
経済学の素養が無くても、自由主義に基づく「市場経済の活性化」
・「小さな政府」というスローガンの意味を存分に咀嚼する事が
出来るでしょう。
もし、忙しくて600頁以上も読む時間が無いと言う方がいらしたら
市場主義 伊藤元重著(日経ビジネス人文庫)約200頁
で要旨を掴んでしまうのもひとつの方法かと思います。
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