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ビジネスサポート経済学人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学

松谷 明彦(著)

人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学

定価: ¥ 798
販売価格: ¥ 798
人気ランキング: 48557位
おすすめ度:
発売日: 2002-06
発売元: 中央公論新社


人口減少を是とし、意識の切り替えで国の行く末を計画する
大蔵省主計官・官房審議官を経て政策研究大学院教授に転じたという経歴は、国家のこれまでの政策を熟知するのに十分であろうし、その上で2002年時点の状況を眺めさらに将来を予測している。特に2006年に日本の人口がピークを迎えると予言したが、2005年に行われた国勢調査の結果とほぼ一致している。著者は職歴から過去の政策とそれに乗った日本企業の今までの流れに対し、これからは官僚や経営者の政治・経営哲学を改めることで人口減少でも日本という国と国民が豊かに暮らせるだろうと提言している。
また著者は基本的に労働力の外からの流入の必要性はないと判断しているようで、第1次産業・第2次産業ともその分を機械化と大規模農地集約で補助できると述べている。
 あえて欠点をあげるならば、著者は2030年になれば団塊の世代がこの世を去って若年世代の重石にならないという前提で日本国の設計を考えており、その過渡期30年の対策については統計予測のみで深く追求していない点である。また日本人と欧州人の生活に対する思想の差をほとんどない前提で日本の地域社会を考えている。過渡期30年の対策こそが、次の世代が豊かに暮らすための必要条件と思われるので、その点に的を絞った著書を続編として望むところである。

失業者の発生をどう考えるのか
本書の内容は、人口減少社会においても豊かさを実現するための、ある意味、耳障りの良いシナリオを提示する一方で、多くの違和感を読後に残した。特に、ハロッド・ドーマーの動学的なモデルを使用しながら、時間軸的な経路が全く見受けられない。このシナリオが実現する過程では、例えば、経営困難な企業へのハードランディング的な対応や、農業の生産性向上についての言及などから見て、多くの失業者が発生することも予見される。しかしながら、その点には目をつむり、最終的に雇用の場に生き残った者の賃金水準の向上といった、耳障りの良い部分のみを強調することには疑問を感じる。加えて、著者の援用するハロッド・ドーマーの成長理論では、完全雇用を実現する経済成長(自然成長率=保証成長率)には、政府の持続的な関与が必要(いわゆる「ナイフ・エッジ」論)とされており、長期的な安定を保証するものではない。
なお、著者の求める人口減少社会の最終的な姿は、欧州モデルにあると思われるが、その場合であっても、日本経済のダイナミズムが失われ、商品の陳腐化や社会階層の固定化といった、その悪い面だけが実現してしまう恐れはないのだろうか。また、日本的な長期的・安定的雇用システムを失うことは、日本企業の競争力を大きく損なうような気がしてしまうのは、私だけであろうか。欧州的な豊かさの実現は、それはそれで一つの目標・理念となろうが、そこに至る過程があまりにもシバキ主義的であれば、とても賛同し得るものではない。

この本が活かされれば星5つにできますが・・・
どうも、世の中を見ているとそうではなさそうなので、星1つ減点しました。
本書は、人口減少社会とは何か、と言う根本的な疑問に対し、最新の統計を基にした数理モデルを用いて答えています。
それによれば、人口減少社会は必ずしも悲観すべきものではなく、やり方次第で豊かにし得る社会であることが、頭では理解できます。
しかしながら、世の趨勢を見ていると、本書の見方は、少数派の見解に過ぎない、と言わざるを得ません。
豊かさの基準、豊かな暮らし方、本書の見解と一般世論の間には、大きな、埋め難い溝があります。
本書は、イタリアの事例を示していますが、イタリアと日本、どちらが豊かかと問われたら、何人が「イタリア」と答えるでしょうか。
人口減少社会は不可避です。不可避であることを前提に、社会のあり方を変えねばなりません。
その考え方自体を否定するつもりはありませんが、今の社会のあり方をどうやって改めるか、と考えた時、言葉に詰まってしまいました。

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