契約の経済理論
契約理論と長く付き合いたい方へ
この本は契約理論の第一人者が多数の関連文献を読み、原論文のモデルを簡潔に再構成し直し(それでも難解)、諸理論を分類・体系化していく中で著者の築き上げてきた「知的財産」である。
他分野専攻の大学院生や時間の制約の大きい社会人の場合、契約理論を効率的に学ぶためには他の教科書を使用するべきかもしれない。
また、組織と契約の経済学を本格的に専攻したい方でも、これを精読すれば事足りるわけではない。読了後は文献ノートにある原論文に直接当たり、研究テーマに関する論文を多数読んでReading Listを作成し(なかなかできない)、モデルを再構成・体系化していく中で自分自身の知的財産、第二・第三の「伊藤本」を作らなければならない(偉そうだけど)。
したがって、この本は契約理論と長く付き合いたい方が出発点とするものである。
間口を狭くしてませんか?
冒頭で、契約理論が米国ではマイナーな存在ではないことを主張しているけれど(確かにそうなのだけど)、本の出来としては、むしろ、興味をもった人の関心をそぐ記述になっていると思う。紙幅の割にいろいろ盛り込みすぎたのが原因ではないだろうか。
著者は「冗長」と批判しているが、Laffontによる"The Theory of Incentives"の方が、初心者にとっては入りやすい。日本の先生の書く本は、完成されたものを効率よく(綺麗に)まとめることに終始しがちだけど、それでは一体何がきっかけでその理論が発展したかがわかりにくい。それに対して、米国の本は、self-containedで、とりあえず間口の広さは確保して、適宜文献を紹介したりして、いい意味で読み手が寄り道できるような構成になっている。(だから、「冗長」という批判自体は、とても的確なのだけれど。)自分でぼんやり考える余白の時間を与えてくれる。
一長一短はあるけれど、「契約理論」の啓蒙も著作の目的だったとしたら、とりあえず、その点ではこの本は残念賞。難しいところだけど。
あんまりおすすめではないかも。
説明がわかりにくいです。これを読んで力がつくとは思えません。契約論に興味がある人は柳川先生の契約と組織の経済学でconcept、ideaを頭にいれたあと、直接tirole やmaskin, hartなどの文献にあたりましょう。ゲーム論やRPといった基本的なツールが分からない場合は適宜MWGに戻ればいいんじゃないでしょうか?
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