人間回復の経済学
個人的な感想のみ
20年以上前に外書講読の授業をこの著者から受けたことがある。
今にして想えば随分不真面目な学生であったと後悔もするが
それでもそれなりに財政学の本質に触れた気がしたものだった。
ここにある経済論は今こそ広く読まれるべき要素がふんだんに
織り込まれている。与件としての人間の存在定義に言及し、人間本来
の姿を前提として経済を捉え直すという視点は今更ながら温故知新的
であり、今の右に振れ過ぎている世相への強力なアンチテーゼ足り得ると
思う。それにしても、かかる論説が一般メディアでは殆ど取り上げ
られないことにこの国の病巣の深さを感じずにはいられない。
現状の高失業・高自殺率・高鬱病者率等々は決して已む無いことではなく
本来人間の為であったはずの社会システムによる人間疎外という矛盾に
起因すると言う指摘だけでも傾聴に値すると思うのだが、果たして
日本は、否、世界はいつそのことに気付くのだろう?
バラ色の未来、でも鵜呑みにはできない
一気に読ませる文章力に1点、経済学の難しい知識を必要としない点に1点、主張に共感できる点に2点で4点とします。しかし、この本の問題点は、具体的な政策提言がないことです。例えば、景気をどう回復するのか、財政赤字をどう解消するのか、といった点です。また、スウェーデンをここまで持ち上げられると、はたしてそこまで理想の国家なのか、疑問が出てきます。本来であれば、現在のスウェーデンの負の側面も取り上げられるべきでしょう。イギリスにおけるサッチャー改革の失敗についても触れられていますが、ではその後10年を経てイギリスはどう変わったのか、という点も知らなければ、公平に評価したことにはならないでしょう。より知りたいことは増えました。
読みやすい
学者の本ですが、非常に読みやすいです。内容のレベルは決して低くはないですが、一つ一つの文章が短く、専門用語も少ないため、内容がすぐ理解できます。
おそらく著者は、読者のことを考えながら、分かりやすさを心がけて書いたのではないでしょうか。読んでいてそのように感じましたし、その姿勢に感心もしました。
内容そのものは、今の主流である新自由主義への批判を、著者の思想とスウェーデンの例を挙げて行っています。これには賛否両論でしょう。ただ、市場主義者(原理主義者じゃなくても)の方は、読むに値しないかというとそんなことはありません。
先ほども言ったように、読みやすいので、それほど時間をかけずに読破できると思いますから、著者に反対であっても、試しに読んでみたらいかがでしょうか?
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