ガルブレイスわが人生を語る
J.K. ガルブレイス(著)
定価: ¥ 1,575
販売価格: ¥ 1,575
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おすすめ度: 
発売日: 2004-12
発売元: 日本経済新聞社
偉大な経済学者のユーモラスな自伝
著者はカナダの農場に生まれ、苦学してカリフォルニア大学バークレー校卒業した後、長年ハーバード大学教授を務めました。経済学者の枠におさまらず、役人として第二次世界大戦中の物価統制を指揮した後、政治とも深いかかわりを持ち、大統領候補のスピーチライターやインド大使にも就任します。ジャーナリスト時代に文章も磨きました。
著者の文章を読んでいると率直で誠実な人柄のように感じますが、本書で自身が語るエピソードによると、ずいぶん嫌われ者だったようです。特に戦時物価統制を担当していた頃は製品価格を上げさせようとする企業経営者から憎悪されていて、あとあとまで「共産主義者」と罵られたようです。マッカーシー旋風が吹き荒れた米国のことです。こんな罵倒を受けると身の危険を感じたはずですが、本書では触れていません。
どんなに反発されても信念を貫く著者は、個性を尊重する米国でも傲慢に見えたのかもしれませんね。
本書にはケネディ大統領と朝食をとった時の会話が紹介されています。その日のニューヨークタイムズ紙に載った自分の記事の感想を聞かれ、「悪くないと思います。ただ、なぜ私のことを尊大と書くのはかはわかりませんが」と答えました。ケネディはすかさず、こう言ったそうです。「そうかね。だってみなそう言ってるいるよ」。
日本好き、という著者は、次のようなアドバイスも書いています。
日本には、人生の喜び、楽しみといった経済以外の側面をもっと重視する国になっていってほしいと思う。GNP(国民総生産)に向いすぎた関心を、GNE(グロス・ナショナル・エンジョイメント=楽しみ)にむけるべきだと考える。
多方面で活躍した著者のことですから、本格的自伝を書けば相当な分量になるでしょう。200ページ足らずの本書は駈け足で著者の足跡を辿っていますが、あまり細部に入らない分だけ気軽に読むことができました。
ノーベル賞学者以上の大経済学者の自伝
学生時代に「豊かな社会」を読んで、経済の官民格差を分析した「ソーシャル・バランス」の考え方に衝撃を受け、「アメリカの資本主義」のカウンタヴェイリング・パワー(拮抗力)の理論に共鳴し、その後、ガルブレイスの著作を、時には訳書・時には原書で殆ど読んできた。そのケインジアン思考と反戦に裏打ちされたリベラルな思想に影響されながら、色々な経済・経営・社会・政治関係の多くの本を読んできたような気がする。
この自伝は、日経の「私の履歴書」掲載時から楽しみに読んでいたが、殆ど晩年になって語っているので、著者の多くの著作に流れる太い精神と思想の遍歴が枝葉を削ぎ落として昇華されたカタチでその真髄が語られていて、実に感慨深い。
社会科学は、現実社会にどう役立つかで試されなければならないとする現実主義の思考は、正に、農家に生まれて農業経済を専攻した結果であり、また、徹底的な大企業研究へと学問を方向付けた遠因は、戦時中の価格調整を心血を注いで担当した「価格行政・民生品供給局長」時代の大企業経営者との関わりにある等、興味深い話が続く。
ケインズの有効需要理論に衝撃を受けて教えを請う為に英国に留学した著者が、時が変わり、もうケインジアンではないと言うが、正義感の強いリベラリズムは今も健在であり骨太の人生観が爽やかである。一番最初に胸を借りてマトモニ経済学を論じたシュンペーターの影響が垣間見えるのも楽しい。
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[ 経済学 ]
